スーパーアスリート WR (1993)

●メーカー:ミズノ ●発売年:1993年(1992年にテスト販売?) ●定価:\20,000
●キーワード:カール・ルイス、硬化プラスチック、超軽量(、三軸織物?)

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「タイバーパウ LB11-01」でも書きましたが、1991年東京世界陸上が開催されたころ、世界を代表する2大スプリンターのスポンサーを国内メーカーが担っていました。即ち、リロイ・バレルが「アシックス」、カール・ルイスが「ミズノ」。そのカール・ルイスに1991年東京世界陸上の際に提供されたスパイクの市販化モデルがコレ。
一番の特徴はその軽さ。リロイ・バレルのデータからアシックスが導き出したコンセプトは「接地時のブレーキロスをゼロにすること」。対するカール・ルイスの求める方向性は「裸足のような軽さ」。それを実現するのに用いられたのが硬化プラスチックピン。ピンが固定式でプラスチックで出来ており、その軽さは他のスパイクを圧倒してました。また、おそらくこの「スーパーアスリートWR」に搭載されていると思うけど、ルイスが1991年世界陸上で履いたスパイクには、超軽量化実現のためアッパーにも軽量かつ高耐久素材の「三軸織物」が活用されてます。最近でもミズノの高スペックなスプリントスパイク(インクスとか)や、摩擦の大きい槍投げ、ハンマー投げのシューズにも「三軸織物」は採用されています。日本の職人魂が込められた1足ですね。

話はルイスのスパイクに戻りますが、開発話は2000年に当時NHKで放送されていた「プロジェクトX」でも放送されてました。肉体のピークを越えて衰えを感じ始めたルイスは「0.1秒のタイムを伸ばすのに、0.05秒は俺が頑張るから、残りの0.05秒はスパイクで何とかしてくれ」とか頼んだとか。伝説のトップアスリートでも、スパイクに対する期待値、ポテンシャルを認識していたエピソードです。
また、世界陸上のレース前に、大会サイドからスパイクチェックを受けた結果、スパイクピンそのものは10本しかないんだけど、それ以外の突起も「これもピンだ!11本以上ピンを配列してるじゃないか!」といちゃもんをつけられたんだとか。そのとき開発者はルイスの目の前で突起をカッターで削ったんだそう。動揺するルイスを目の前に、「さらなる軽量化だ、心配するな」とか言ったそうです。かくしてスパイクは既定の10本以内と認められ、これを履いたルイスは決勝で9"86の世界記録を叩きだし、31歳にして世界記録を更新しました。当時は30歳超えたら一線ではやっていけない!というのが常識だったから、なんか競技寿命が延びる一つのきっかけになったんじゃないかなぁ。しかしミズノの開発者は焦ったでしょうね、、これでスパイク変えられたらルイスもブチ切れ、サラリーマン人生もやばかったでしょうな。

ちなみに市販化したこのスパイク、当然ですけどピンがプラだから耐久性は全くなし。ちょっと流しただけでもピンは丸くなるんで使い捨てスパイクみたく割り切って履かなければならなかった。よく市販化したよね。これでトラック外のコンクリなんかを歩いている人を見たときは、履いてない自分もハラハラさせられたもんです。。尚、このスパイクと類似した(カラー変えただけ?)「スーパーアスリートWG」も1994年に発売しているから、需要はあったんですかね??その後1996年にミズノが「クロノダッシュ」が出た際は、固定ピンながら金属製だったので耐久性も飛躍的に向上してました。

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↑1994年発売の「スーパーアスリートWG」。「スパイクレス」ってのはちょっと意味が違うんじゃない?

固定ピンだったり、三軸織物素材の応用であったり、現在のミズノ社スパイクにも大きく影響してますね。大きなプロジェクトがイノベーションを起こす。いつの時代も不変ですがその舵を取った開発者の努力やプレッシャーは並大抵のものでは無かったのでしょうね・・・


※おまけ①※
1992年にバルセロナオリンピックが行われましたが、その際に「バルセロナモデル」として類似(同じ?)仕様の「スーパーアスリートBO-S」が発売されてました。出展は1992年8月号の陸マガなので、シーズン中の発売だっと模様。
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※おまけ②※
2013年3月、カール・ルイスが来日し、震災の傷跡がまだ残る東北/石巻地区の高校生アスリートを指導する、というイベントがありました。カール・ルイスが大好きな筆者は幸運にも仙台に滞在しており、報道陣に紛れてシャッターを切ってました。その一コマも一緒に。

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    Excerpt: ●メーカー:ナイキ ●発売年:1998年 ●定価:\18,000 ●キーワード:マイケル・ジョンソン モデル、軽量モデル、レース専用スパイク Weblog: Sprint Mania! racked: 2016-07-11 20:55