スーパーアスリート クロノ100(クロノダッシュ)1996~

●メーカー:ミズノ ●発売年:1996年~(1995年末~)
●定価:\22,000
●キーワード:データシャワー理論、5本金属固定ピン、100m専用(直線専用)、デニス・ミッチェル、「このスパイクの唯一の欠点は、遅く走れないことだね」

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1995年の年末、かつてカール・ルイスと組んで超軽量スパイクを世に輩出したミズノから、新たな境地のスパイクが発売された。このスパイク、きっと多くの人が初見では「えっ?」って二度見したんじゃないかな?筆者もその一人だが、下記の2点がとにかく驚きの構造でした。

①ソールの形状
まずはなんたってこれ。前足部からカカト部への傾斜が強く、これを履いて立ったら間違いなく「爪先立ち」になる構造。かつてアディダスから発売されて「アクセレーター」も踵は付かない設計だったけど、爪先立ちにはならなかった。ハイヒールのヒールが無い構造、と理解してくれてOKです。
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↑ちなみにアクセレーターはこれ。1992年以前にも売っていたスパイクのソールはそのまま、アッパーだけ変更して1996年に復活(今更?感を感じました)。これだと爪先立ちにはならないよね。


②ピン構造と配列
ピンはルイス向けスパイクと同様、固定ピンをが採用。だけどプラ製ではなくアルミニューム合金のため、すぐ丸まっちゃう課題はある程度解決されていた。さらに驚いたのは5本しかピンがないこと。いままでアシックスが11本なんとか配置しようと頑張ってたのにその半分以下。

あと地味だけど爪先部に進行方向向きにプラの突起が出ているのも気になった。これってバイパーピンのパクリ?って思ったね。

そんな構造だから、提供された当時のトップスプリンターの一人、デニス・ミッチェルはもう困惑しちゃったらしい。でも開発者の説得に応じて走り始めて納得、足がドンドン前に出る。試走を終えたミッチェルが放った言葉、「このスパイクの唯一の欠点は、遅く走れないことだね」に、開発者はホッとしたことでしょうな。他の有力選手も、世界大会でも「流すことができない」という理由で準決勝から履くスパイクだったんだとか。

このスパイクは(おそらく)陸上スパイク界で初となる「CAD」のソフトによって設計されたシューズで、ミッチェルのフォームの解析がデータの基盤になっていた。CADとは「Computer aided design」の略、データを入力するとコンピューターがシミュレーションから最適な構造をデザインしてくれるソフトのこと。1997年始、当時日曜の20時から放送されていた「特命リサーチ」って番組で「クロノインクス」と一緒に取り上げられてました。CADではデータ入力後、画面が一時雨が降ったような状態になったあと設計図が描かれることから、「データシャワー理論」と名付けられたんだとか(データシャワー自体は外観であって、理論と全然関係ないんだね、、)。上述の通り、走ると自然に前傾姿勢が促され、前に前に自然に足が運ばれるようなスパイクだったそうです。上述の爪先の突起もCADのデザインの結果だったそう。

このスパイク、見た瞬間に履きたいなぁって思ったけど、¥22,000なんて大金高校生には持ってない。「クロノ100」は翌年以降「クロノ DASH」に名前を変えて、約10年間マイナーチェンジで販売を続けたのですが、結局履く機会がないまま終わってしまった、、残念。ちなみに末續選手も高校1年の時は履いていたそうですし、ブログなんかで拝見すると多くの方がこのスパイクのことを絶賛しているので、やはり名品だったんでしょうね。
なお、「直線専用」と謳っているけど高校生にそんなことは関係ない。4継なんかでカーブでこのスパイク履いている人もたくさんいました。やっぱりカーブでは耐久性に乏しくよく壊れたんだそうです。

このスパイクとサイバーゼロの登場で、以降のスパイクで画期的なデザインがなされても並大抵のことでは驚かなくなっていった。そんなエポックメイキングな1足でした。またあんな衝撃に出会える日が来るといいなぁ。

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