タイバーパウ LB11-01

1992年にアシックスより発売されたスパイク
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製品名のLBは「リロイ・バレル(Leroy Burrell)」の略。

発売前年の1991年、東京にて世界陸上が開催されました。

当時スプリント界をけん引していたのは陸上界の伝説、カール・ルイス(米国)と前述のリロイバレル(同じく米国)。
2大巨頭のスポンサーですが、なんと日本のメーカーが同時に担っていました。今では考えられないことですね。。ちなみにカール・ルイスはミズノ(当時はRunbirdのブランド)、リロイ・バレルがアシックス。
そのため、東京世界陸上の100mは「アシックスとランバードの代理戦争」とまで呼ばれていました。(バブル終末期の日本では、メーカーの開発予算にも余裕があったのかね?)
リロイ・バレルの動作を解析し、その理論を応用して一般ユーザー向けに発売されたのがこのスパイク「LB-1101」。これをフラッグシップモデル(\35,000、、、)とし、「LB-1102」、「LB11-03」、「LB9-01」、「LB-Light」のシリーズが有りました。

ところでこの「LB11-01」だが、特筆すべきことが2点あります。

1.11本のスパイクピンを配列している!

製品名の「11」とはピンの数のこと
陸上スパイクのピンの数はルール上「11本まで」と規定されています。
本スパイクはパワー型スプリンターのリロイ・バレルの接地時のインパクトを「如何にロスさせないか?」をコンセプトにされていたようで、その施策として最大配置可能の11本のスパイクピンを配列させています。
11本のピンを配列させる→即ち、スパイクの重量は重くなってしまうのですがその対策として用いられたのが「TRスパイク」。チタン製で出来た3本のピンを持つレジナスクロウの形状のピン。TRは「トライアングル」とか「トリプル」を語源としていた覚えがあります。
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←こいつのことね。

一見するとプラ製のレジナスクロウ(黄色いの)と差がわかりませんが、こいつは2個セットで2500円もしたんです。

ちなみに、1足あたりこのTRスパイクを2つも配置してしまうのだから、2か所で6本のピンを消費してしまいます。
しかしピンが配置できるポイントは残り7点。1本ずつ消費すると合計13本でルール違反になってしまいますがそこは心配ご無用。一部のポイントは「レジナスクロウと埋めピンだけ」なのです

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この設計がデータに裏打ちされた妥当なピン配列なのか、もしくは「TRピン」性能に自信を持った結果なのか、または他のスパイク(LB11-02等、いわゆるLBシリーズ)とプレートを共用しなくてはならないがための苦肉の策なのかは分かりませんが、なんかレジナスクロウだけのポイントがあるの当時子ども心に非常に不安を覚えましたね、、
現在のスパイク設計は、不要なピンは寧ろ抵抗/ブレーキにもなるし重さにもなるため、必要最小限のピンを配置するのが鉄則かと思います。もう「11本を無理なく配置」というコンセプトは出てこないでしょうね。

2.工業用ダイヤモンドをプレートに使っている


上記の通り「パワーロスをゼロにする」コンセプトのもう一つの秘策がこれ
ヒールのところに「ピカピカのブツブツ」がありますが、これは「工業用ダイヤモンド」なのです
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ヒールに強度が絶対的で摩耗しないダイヤを薄っぺらく敷くことで、軽量にかつしっかりとした
グリップを実現させたかったのでしょう。
以降のアシックスのトップモデルでも、この材質は一切使われなかったので少なくとも商業的には成功しなかったんでしょうね。
なんせダイヤを使ったからでしょう、「35000円」という超高価格のスパイクゆえ、履いている人は陸マガ以外ではほとんど見たことがなかった。

他にも、当時NIKEが「ハラチ・フィット・システム」をスニーカーに搭載してましたが、スパイクのベロはハラチ同様の靴下構造となっている「モノ・ソック・タン」という構造が採用されていたり、まさに当時の技術・理論の粋を結集させたスパイクだったと言えましょう。

ちなみに筆者は同じプレート設計、TRピン一個、ダイヤモンドなしの「LB11-02」を履いてましたが安定性は○(左右にぶれない)だけど反発はイマイチ(全くなし?)でした。。バレルのようなパワー型スプリンター(トラックを叩くタイプ)には良かったかもしれませんが自分は使いこなせなかったんじゃないかと思います。

なお、リロイ・バレルとのスポンサー契約はその後も続き、彼が1994年に出した当時の100mの世界記録、「9"85」はアシックスのスパイクが出したタイムです。バイパーピンの発想も彼との研究から産まれたアイディア(だったはず)であり、同氏との研究成果は現在にも影響を残しております。

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